私は型染というものをやっておりますが、ワークショップや着物の半襟などについては、主に「摺り染」という技法を使っています。
型染と摺り染、両方の言葉を使っていますが、どう違うのか(本来は「型染」というカテゴリの中に「摺り染」があると思います)をご説明いたします。
型染の技法のちょっとした説明にもなるかと思います。
糊を使う型染の工程の簡単な説明
①防水性の紙に模様を切り抜いて型を作って
②それを生地などの上に置いて、上からヘラに糊をつけてなぞると、型の切り抜いてある部分に糊が入ります。
③それを乾かしてから、上から顔料などで色をつけて定着させて、物によっては蒸してから、水に漬けて糊を落として完成です。
この工程の間に、型に紗張りをしたり、生地に豆汁をひいたり、などの作業もあったりします。
とても手間も時間もかかる作業です。江戸小紋などは、繊細で細かい柄の型を表裏両側にぴったりと同じに糊置きをしたりするのだと聞きます(私は残念ながら見たことがありませんが)。職人の技術がなければ出来ないものですね。
左にある型で糊を使った型染をした場合は、右のようなものになります。
摺り染の工程の簡単な説明
①は型染と同じ
②型を生地などの上に置いて、上から顔料などを刷毛で摺りこむ
基本的にはこれだけです。
使う染料などによって、蒸したり、水に漬けたり、などの工程がありますが、主な作業はこのふたつです。糊を使う仕事に比べて、とてもシンプルです。
左の型で摺り染をしたものが、右のものになります。
摺り染は工程がシンプルなので、作品を仕上げるのにかかる時間は短縮されます。気軽に使えるものを作れて、誰でも気軽に出来る、というメリットがあります。
※型を作る際の制約はありますので、どんな絵でも型に出来る、というわけには行かなくなります。その点は、糊を使う型染の方が自由度は高いと思います。
摺り染で出来るように工夫を凝らす、気軽に人と一緒に摺り染を楽しむ、という方が、私がやってみたいことですので、布ものの制作とワークショップに関しては、主に摺り染を手がけています。
型染版画に関しては、糊を使って和紙に天然顔料で制作をしています。蒸す必要がなく、糊を落とすのも小さい場所で可能な大きさのものを作っています。版画は「絵」として制作したいので、糊を使って表現の幅を広げたいためです。版画に摺りを加える事もあります。
私は型染の「型」を版画の「版」と同じ事と捉えていて、孔版の紙版画は小学校でもやるものだし、型染だって、誰でも出来る、と思います。
ツバメ堂で開催しているワークショップは、型染の入り口になって、自分のものを人と一緒に作る楽しみを提供できればと思っています。
気軽に楽しんで、自分の好きなものを作る、そういう世界を大切にしたいのです。
型染ワークショップ