志村ふくみ展-自然と継承-

滋賀県立近代美術館にて
「志村ふくみ展-自然と継承‐」を観てきました。

館所蔵作品を中心にした展示ですので
今までに見たことのある作品を多く見ることができて
さらに新しい作品も見ることが出来ました。

志村さんの着物の前に立って感じることはいつも

「これは着物の形をしているけれども、抽象絵画だ。」

です。

絹糸を植物染料で染めて機にかけて織っている
となれば織物ではありますし
織りあがった反物を着物の形に仕立てているのですから
着物なのですが

たまたま織物の技法を使っていて着物の形をしているけれども
表現されているもの作品から受けとれるものは
着物の範疇にとどまらずもっと広くて大きくて深い。
(着物の世界が小さいとかいいたいんじゃないんですよ)

その作品の前に留まってずっとずっと見ていることが出来る。
近くに寄って細部をじっくり見て
織り合わされている糸の一本一本の表情を感じ取り
数歩さがって全体を眺めて色の構成や形や
かもし出される空気を味わう。

マーク・ロスコなどの絵画とも似ていると思います。
作品と対峙しているうちに自分が消えてなくなっていって
作品の中にとっぷりとはまりこむ、
あの快感も与えてくれる。

やはりこれは着物というより抽象絵画だ。

と感じるのですが、それでも絵画とは違うところがあって、それは

着る人あるいは着た人の気配がたちのぼっている

というところ。

それぞれの作品の背景に、その着物を着るであろう、着たであろう
(じっさいには着られないのでしょうけれど。館蔵品ですし。)
体温も心も情念も持った女性が感じられるのです。
着物の形をしていて、それが広げて展示されていることで
それを身につける女性のイメージを見る人の心に喚起する。
それも含めての作品なのです。

そういう着物が並んでいる空間はインスタレーションのよう。

工芸でもアートでもない、どこにも分類できない唯一無二の作品。

自分の内面という鉱脈をひたすら掘りさげることで

形になったものだと感じます。

滋賀県立近代美術館にて
2015年9月23日まで